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『YAOYA』:クリエイター夫妻がフランス・バスク地方で実現した新しいお店のカタチ

フランス・バスク地方にある小さな漁村、ゲタリー。昨年6月、そこに小さなお店がオープンしました。その名は「YAOYA」。地域のコミュニティに親しまれているのはもちろん、質の高い品揃えとセンスあふれる店づくりで広く注目を集めているこのお店の魅力をお伝えします。

ずっと心の中にあったゲタリーの村

「YAOYA」のオーナーであるエルメスやファッション雑誌のヴィジュアルを手掛ける写真家のセドリック、そして日本出身で世界的に活躍するデザイナーのアイ夫妻は、2007年にゲタリーで出会い、翌年にその地で結婚しました。その後、二人はパリ、ロサンゼルス、ニューヨークとさまざまな土地で仕事をしてきましたが、心の中には、常にゲタリーがあったと言います。
「セドリックは小さい頃からバスクでサーフィンをしてきました。大人になったらここに住みたいと思っていたようです。子供が産まれたのを機に、私たちゲタリーに帰ろうと決心。毎日、子供に海を見せてあげたい、自然の中で子供を育てたい、仕事は自分たちで作ればいい。そんな想いを抱いて、ゲタリーに戻ってきました」とアイさんは語ります。

とにかく質の良い食材を提供したい

「YAOYA」が店を構えたのは、1880年に建てられたという旧いバスク建築の建物で、20年ぶりに売りに出ていたそうです。半世紀前は、実際に村の八百屋として使われていたとのこと。
「コミュニティを大切にし、地元の農家さんたちと作り上げるオーガニックマーケットという『YAOYA』のコンセプトは10年ほど前から頭にありました。店をオープンする1年前からバスク地方やピレネー山脈を旅して、農家を訪ねたり、農場や市場を回り、質の良い商品を探しました。最初は商品の数は少なくても良い、少しずつ集めていけば良い、とにかく、みなさんに美味しくて体にいい季節の食材を提供したい。その気持ちを大切に店づくりに取り組みました」
お店のデザインは自分たちで描き、地元の大工さんたちと一緒にお店を作り上げ、2018年6月2日の朝9時についに「YAOYA」はオープンします。店内には、一流パティシエが手がけた長時間発酵のパン、ピレネー山脈の柑橘系の花から採れたフローラルハニー、地元の農家が手がけた野菜など、確かな品質の農産物が並びます。それだけでなく、お米や自家製の味噌など日本の食材や日用品、衣類など選び抜かれた商品も混在しています。それでいて、どれも地域の人々が購入しやすい価格に設定されているのです。
「『YAOYA』は必ずしも食料品店である必要はありませんでした。コミュニティのシンボルとしてお店があること。それが私たちにとっては重要だったのです」とアイさんは言います。

店内を彩るジャパンブルー

お店のデザインはシンプルで温もりにあふれています。セドリックの父親が持っていた旧い木製の作業台、日本の伝統建築を彷彿させる無垢の松の木や襖などを、巧みに組み合わせており、心地よい空間を生み出しています。中でも目を引くのが、随所にあしらわれた藍染のバンダナ。ファサードには藍染の暖簾も掲げられています。これらは、夫婦ともに親交のあるカイハラが手がけたもの。
「デニム、そして藍染は、私たちのライフスタイルに欠かせない存在です。実際、私たちは毎日、デニムを身につけて仕事をしています」とアイさん。美しいジャパンブルーと味わい深い柄は、お店のナチュラルな雰囲気に見事に溶け込んでいます。

「YAOYA」がオープンしてから、約1年。コミュニティを大切にするお店にしたいという二人の希望は叶いつつあるようです。自分たちが幸せに暮らせる場所を求め、その土地に根付いた生業を持つ。そんな理想的な生き方が可能であることを「YAOYA」は教えてくれます。

PROFILE
Aï BIHR
デザイナー/YAOYA 店長

パリのファッション専門学校、スタジオベルソー卒業後にデザインディレクターとしてUniqlo, Band of Outsiders, Steven Alan のコレクションデザインを担当。2015からは Glenstone Museum(米国最大の現代美術館)のアートディレクターとして数多くプロジェクトに参加。他にOfficine Generalメンズコレクションのコンサルを担当。 夫である世界的に活躍する写真家、Cédric Bihr氏と共に2018年「YAOYA」をオープンする。

YAOYA organic Market
251 Avenue du Général de Gaulle Guéthary https://www.instagram.com/yaoya_guethary/

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