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コラージュアーティスト、河村康輔が考えるサステナブルとは?

渋谷パルコの『AKIRA』の作品や〈UT〉のTシャツデザインなど、様々なフィールドで作品を発表し、そのたびに話題が集まる気鋭のコラージュアーティスト河村康輔さん。そんな河村さんは、〈カイハラデニム〉本社がある広島県福山市出身。今回は”福山っこ”である河村さんに、〈カイハラデニム〉についての印象や、昨今ファッション業界で注目を集めているサステナブルについて語ってもらった。

もしかしたら自分も〈カイハラデニム〉の社員になっていたかも。

「〈カイハラデニム〉と言えば、地元では知らない人はいません。僕の中では子どもの頃から当り前にあるものと言いますか。友達のおじさんの勤務先という感じでしたし、今は同級生が働いているので親しみしかありません。当時はそういう印象だったのですが、ファッションが好きになり、デニムを穿くようになったときに多くのブランドが〈カイハラデニム〉のデニム生地を使っているということを知り、急に鼻が高くなりました(笑)。上京してからでニムの話になると決まって「あれ、うちの地元だから」って言っていました。高校卒業後、デザインの仕事につくために上京しましたが、もしデザイナーとして食えなかったら、親類のつてを使って〈カイハラデニム〉に入れてもらおうかなって、心のどかで考えたりもしました(笑)。今思えば、地元の産業を支える〈カイハラデニム〉のような受け皿があったからこそ、自分は東京でチャレンジができたのだと思います。」

サステナブルの定義は人それぞれ。大事なのは個々の気持ち。

「僕が作品を作る際、おもに使うのが古本や昔の写真集なのですが、そういう昔から残っているものを使って何かを作るので、そういった意味では、僕の作品は超サステナブルだと思うんです。でも、作品として昇華させる際、気に入った本は傷つけず、保存しておきたいのでコピーしたものでコラージュします。でもコピーという行為は紙を使いますし、作品を作る際に余白も出てくるので、サステナブルとは言えない。ただ、コピー用紙も経済を回すものとして社会に存在しているということは、現状では人の営みにとっては必要なものであるわけで…。難しいですよね。だから僕の作品がサステナブルかどうかというのは、ちょっと微妙です。サステナブルというもの自体、言葉の切り取り方というか、当人の受け取り方の問題なのかなとは思います。あまり考えすぎず、自分にできることから一つずつ取り組んでいけたらいいですね。」

服としてアートとして、時代を超えて愛されるデニムは究極のサステナブル。

「デニムは究極のサステナブルだと思うんです。長年着たり穿いたりできて、穴が空いたらリペアもできますし、色落ちも楽しめる。あとヴィンテージ市場だと、高価なものは数千万円もするデニムも存在しますが、これは着用するためのものでなく観賞用、つまりアートとしての存在価値ですよね。そうなると究極のサステナブルって、存在価値の有無なのかもしれないですね。いくら利便性が高かったり見栄えが良くても、価値がないものは自然と消滅していくじゃないですか。人から必要とされるものは、デニムのように時代を超えて、存在価値を変えてずっと生き残るわけで。そういうものこそサステナブルですよね。デニムは着なくてもアートとしても楽しめますから、これって一番無駄がない。自分が今日穿いているブラックデニムは70年代のリーバイス501なんですが、これ50年前のものですよ。すごいですよね。そうなると、いつの時代も存在価値のあるサステナブルなデニムを作り続けている〈カイハラデニム〉はやっぱりすごいなと、福山出身の僕としては改めて鼻が高いです(笑)。」

PROFILE
河村康輔
コラージュ・アーティスト/グラフィック・デザイナー 

1979年広島県福山市生まれ。グラフィックデザイナー、アートディレクター、コラージュアーティスト、「ERECT Magazine」アートディレクター。多数のアパレルブランドにグラフィックを提供。ライブ、イベント等のフライヤー、DVD・CD のジャケット、書籍の装丁、広告等のデザイン、ディレクションを手掛ける。

instagram:@kosukekawamura

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