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代官山BARBER BOYSオーナー兼プレイヤーの樅山敦による連載企画

BARBER BOYSのオーナーでヘアメイクもされる樅山さんによる連載企画、「映画とデニム」。映画やファッションにも造詣が深く、デニムの魅力が存分に味わえる映画をコラムと共に紹介します。

007 スカイフォール/ サム・メンデス監督作品/ 2012年公開 (後編) 

大自然のスコットランドではデニム本来のタフネスさが活きる

こっからの映像がものすごく美しい!ブルートーンの電光クラゲが反射する高層ビルでの格闘、モディリアーニの「扇子を持つ女」、その名画を売るエロい女セヴリン。実際、2010年にパリ市立近代美術館で盗難にあって行方不明の名画。この映画が2012年だから、上海で転売している設定なんだね。不謹慎だけど何だかカッコイイ。そしてボンドくん、トルコで取り逃した男を格闘の末に殺してしまい、雇い主を聞き出すことが出来ず…、トホホだねぇ。ただ、遺留品から手掛かりとなるマカオのカジノ・チップを入手。さぁマカオに移動っと、そ・の・前に、ホテルでヒゲをシェービング。使用するのは僕たち理容師が使う”折りたたみ式カミソリ”。ボンド曰く「トラディショナルなスタイルが好きなんだ!」この発言、最終章で生きることになる。ん〜、それにしてもシビれる。カジノは2006年映画「007カジノ・ロワイヤル」以来だね、継承してまーす。マカオで御対面したエロい女セヴリン経由で、大ボスの元MI6スパイでMを恨むシルヴァをやっと見つけだし、取っ捕まえるけど、このサイバーテロリストは脱獄、Mを殺しに行く。なんたってハードドライヴをリークしてるから、ボンド達の動きはお見通しだし、捕まったことも全部計算通り。さぁ、どうするボンドくん…??ロンドン郊外の古い倉庫に隠し持っていた車「アストン・マーチン」出動しまーす。この車は1964年の映画「007ゴールドフィンガー」でボンドの愛用車。そしてあの有名なテーマソング「デンデケデンデーデンデンデン・・・」最高なシーンで流れて、我々おっちゃん大興奮!継承してまーす。「ヴィンテージ・カーは乗り心地が悪い」とか「目立ち過ぎる」とか…文句の多いMを乗せ、奴らをおびき寄せ、流れを変える作戦。よっしゃー、生まれ故郷スコットランドのスカイフォールへGo!こんなふうにサム・メンデスが作った新しい007を観ていると思ったら、実は原点回帰の007なんだよねぇ〜。随所に細かな仕掛けを作り、過去に戻るの。素晴らしく知的な脚本と演出。Amazon Primeでレンタルして観てねぇ〜。さぁ最終章。最初からずっとトム・フォードのスーツとタキシードだったボンドくん、実家で着替えま〜す。ここでのスタイリングにブラックデニム登場!!スリムフィットとストレートの間ぐらいのシルエットが、ほどよいバランスを施しているから、ワル目立ちはなく、むしろ品良し。タフな素材がボンドくんの静かなる闘志にねそべり、007シリーズ史上最も優れたシーンになったのよ。洋服って大事、デニムって大事、大事。硬い山々、凍り付いた湖、大自然のスコットランドではデニム本来のタフネスさが活きるね。オレもトム・フォードのブラックデニムを持ってるけど、穿くと身も心も引き締るよ。是非トム・フォードで試着して、気に入ったら買ってみてね〜。あっ、そうそう、展開的にボンドくんが仕込んだプロパンガスが爆発、シルヴァ軍団のヘリコプターがボンドくんの実家に突っ込み爆破。煙に包まれた炎、モヤモヤモヤーっ、ボワ〜んとした光、オレンジ色の空気の中、老体でもないけど、魂にムチを打ち必死にシルヴァを追っ掛けるボンドくん。そう!正にこのシーンは画家ターナーのタッチそのもの。カメラのロジャー・ディーキンスがやりたかった映像は1枚の絵画から生まれたんだね。夕陽と雲を描写、炎と煙を撮影。スクラップ手前の威厳ある戦艦、ちょっと歳くったスパイ、コンセプトがつながってるね。結局、シルヴァの狙い通りMは殺されます。あ〜あっ、ボンドくんは何にも阻止出来なかったトホホ野郎。ただしシルヴァにとどめを刺します。しかもトラディショナルなナイフでね。数日後、Mからの遺言でスパイ続行、初期シリーズMI6のようなトラディショナル英国建築のオフィスになり、上司は話が解る男性。仕切り直しだね、ボンドくん。継承してまーす。

番外編 〜Spotify〜オレのサントラ「007 スカイフォール」

映画のみならず、音楽にも詳しい樅山さん。ここからは番外編、『オレのサントラ「007 スカイフォール」』と題した、同映画の世界観を踏襲した10曲をセレクト。今回もイタリアのジャズレーベル『Schema Records』からの選曲です。やはりイギリスの映画にはヨーロッパのレーベル。雰囲気が合います。ぜひ、お聴きください。

 

 

PROFILE
樅山敦

福島県いわき市出身。1980年代後期からヘア&メイクアップアーティストとしての活動をスタート。広告からファッション誌、俳優やミュージシャンまで幅広いジャンルで活躍。代官山の理髪店『BARBER BOYS』オーナー兼プレイヤー。また、男性整髪料ブランド『CHET』ディレクターも務める。

HP : barberboys.jp

Instagram:@barberboysdaikanyama 

HP:chet55.com

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