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代官山BARBER BOYSオーナー兼プレイヤーの樅山敦による連載企画

BARBER BOYSのオーナーでヘアメイクもされる樅山さんによる連載企画、「映画とデニム」。映画やファッションにも造詣が深く、デニムの魅力が存分に味わえる映画をコラムと共に紹介します。

ダーティハリー/ ドン・シゲール監督作品/ 1971年公開

イーストウッド先輩は求められているところで、しっかり輝いてます。

舘ひろしさんが好きでね〜。たまたま「あぶない刑事」を観てたら、犯人に振り回され、身代金を持って走る館さんってシーンがあって…、あれっ??これって観たことあるヤツだ!って思った2日後、BSで映画「ダーティー・ハリー」を放送。これこれ、偶然だよー、クリント・イーストウッド先輩も走ってるよー、身代金持ってるよー、犯人に振り回されてるよー(笑)オマージュってヤツだね。こんな風に、数ある刑事モノに影響を与えまくった、もっというとアメリカ映画を変えた、オールドスクールな刑事映画なのよ。実際に1968年サンフランシスコで謎の連続殺人事件が発生。いまだ未解決の「ゾディアック事件」ってヤツね。殺人予告を警察や新聞社に暗号手紙で送り付ける、非常に挑発的な事件なんだけど、犯人全然捕まりません!そこで、もし現代のサンフランシスコに、悪いヤツらをバンバン撃ち殺しちゃう、60年代西部劇映画の「夕陽のガンマン」が居てくれたらなぁ〜ってコンセプトで企画が始まり、クリント・イーストウッド先輩にオファー、なんたって先輩は西部劇の大スターだからね!映画冒頭で、銀行強盗人4に向けて、ガン「S&W M29」をぶっ放すのよ、1.5cmくらいの弾丸「44マグナム」を仕込んだ狩猟用のガン。本来なら熊や牛を撃つヤツね。コイツで撃っちゃってるモンだから、吹っ飛ぶのよ、人間が!刑事が持っちゃダメなヤツでしょ(笑)しかも先輩、身長が193cm、強烈なキャラだよー、ハリー・キャラハン刑事。シャレじゃないよ、ホントの役名。そして、銃撃戦後、まだ生きてる犯人にガンを突きつけ、本来ならば「黙秘権がある。弁護士を呼び立ち会いを求める権利がある。…」ってミランダ警告という4警告を読み上げなくてはいけないの。当時から始まった法律だからね。ところが先輩は「弾丸が残って無いと思ってんだろぅ?試してみるか?このクソ野郎!」みたいなことをいって引金を引いちゃうのよ、空砲だったけど、「夕陽のガンマン」をアップデートして、イカれたヒーローっぷりがオレには刺さりますが、先輩、犯罪者にも人権はあるって御上がいってますぜ。さて、ゾディアックを元にした狂人的殺人魔スコルピオ。コイツがデニムかシャンブレーをほとんどのシーンで身に付けてるの。ベルトのバックルがピースマークだからヒッピーで、靴はアメリカ軍に納入していた老舗メーカー「ココーラン 」のジャンプ・ブーツ。陸軍の落下傘部隊が履いていたモノだから、ベトナム戦争帰還兵って設定なんだね。そしてモヘアのカーディガンにデニムでロン毛って、ニルヴァーナの元ネタかもよ。Netflixに落ちてるから、チェックしてみて。先輩もライフル銃を使うシーン、非番なのに仕事してるシーンではデニムとフライトジャケット。いつの時代、何処に行っても、誰にも何もいわれないオールドスクール・アイテム。そこにひと味、山椒を利かせるのが先輩流。レイバンのバロラマってサングラス、くっ〜しびれるねぇ〜、ピリッピリきますぜ。1971年といえばリーバイスの赤いタブが「E」から「e」へ変更した年。通称「ビッグE」「スモールe」両方とも生産していた年なんだ。先輩のデニムは少し太めのスリムフィットがキレイ、「スモールe」かなぁ〜?しかしまぁ、求められているところで、しっかり輝いてますぜ、先輩は。なかなか居ないよ、先輩みたいな人。普通は飽きられるからね。見飽きたらそこで終了。「ダーティ・ハリー」は1988年のパート5まで続いたからね。パート4では監督兼プレイヤー。お金を払ってまで求められるって、案外難しいことだよ。自分を磨かずに「現状維持で何も変わらない僕を求めて下さい!」ってただ座ってるだけじゃ、誰も求めてくれない。使い捨てになっちゃう。先輩は磨くことを続け、望む以上のものを安定的に供給できる人。期待に応えるのは当たり前だし、応えられないのはプロ失格、期待以上のことができてプロ。オレが先輩から何とな〜く感じたことだよ。ですよね、先輩?ラストシーンでスコルピオを追いつめ、例のセリフ「弾切れだと思ってんだろ?試してみるか、小僧!」まったく弾切れじゃないっス。映画「グラン・トリノ」「アメリカン・スナイパー」「運び屋」…。91歳の今でも、俳優、監督としてかなり求められてる先輩。「期待分岐点は常に超えてないとなぁ、小僧!」オレも願わくば、ずっと求められる人間でありたいと思いますぜ、クリント・イーストウッド先輩。

番外編 〜Spotify〜オレのサントラ「ダーティハリー」

映画のみならず、音楽にも詳しい樅山さん。ここからは番外編、『オレのサントラ「ダーティハリー」』と題した、同映画の世界観を踏襲したセレクト。今回は良質な再発を出し続ける、サンフランシスコのレーベル『LUV N’ HAIGHT』からの選曲です。ぜひ、お聴きください。

 

PROFILE
樅山敦

福島県いわき市出身。1980年代後期からヘア&メイクアップアーティストとしての活動をスタート。広告からファッション誌、俳優やミュージシャンまで幅広いジャンルで活躍。代官山の理髪店『BARBER BOYS』オーナー兼プレイヤー。また、男性整髪料ブランド『CHET』ディレクターも務める。

HP : barberboys.jp

Instagram:@barberboysdaikanyama 

HP:chet55.com

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