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NYを拠点に活動する日本人デザイナー「TANAKA」が目指す次の100年を紡ぐ服

2018年に春夏コレクションでデビューをした、ニューヨーク発のファッションブランド「タナカ(TANAKA)」。アイテムは全てユニセックスで展開、時代と性別を超えて長く愛される服作りを目指しサステナブルな活動にも積極的に取り組んでいます。さらに全てのデニムはカイハラ製の別注素材を使用するなど、デニムへの強い想いが伺えます。今回はNY在住であるデザイナーのタナカさんに、ブランドの立ち上げのきっかけや、モノづくりについてインタビューしました。

-まずはブランド立ち上げのきっかけを教えてください。

ニューヨークという土地で生活している中で感じていた、自由でボーダレスな感覚を気が付かせてくれる街や、様々な人種の人々からインスピレーションを受けて、このダイバーシティ溢れる人々に向けての服を作りたいと思いました。ニューヨークがベースとなったのは、前職の海外赴任がきっかけです。今まで自分が日本や中国、アジアなどで積んできた物作りの経験も生かせて、そういった素晴らしい技術も世界に紹介できるのではないかとも考えました。元々、自分の一生を懸けて、後世に残していけるような、ブランドを立ち上げたいという気持ちはあったのですが、ニューヨークでのそういった経験が後押しして、ブランドをスタートするきっかけとなったと思います。

-ブランドコンセプトにある「これまでの100年とこれからの100年を紡ぐ衣服。時代、性別を超えて永く愛される衣服。」という文章に共感をしました。現在、世界中で意識されているサステナブル、ジェンダーレスといったワードが読み取れます。ブランドコンセプトの経緯、考えについて教えて頂きたいです。

私自身、昔からあるユニフォームや作業着、いわゆるヴィンテージや古着が好きなのですが、そういった服というのは、誰かがその時の生活や用途を考えて作った服で、よくできているものが多いと思っています。そういった今までの100年の衣服の歴史に敬意を払って、良いところは取り入れてTANAKAは次の100年のスタンダードになるような、現代に合った服や物、もっと言うとその価値観を作っていきたいと考えています。私達の一番のサステナブルのアプローチはそこにあって、クリエーターとして、生産者としてゴミは作らないことが一番だと思います。流行やクオリティなどですぐに着れなくなるようなものは作らないということです。新しく作るのであればなるべく、リサイクルの生地や、環境に優しいものを選べるなら選んだ方がいいと考えていて、カイハラさんをはじめ生地屋さんや、加工屋さんなどとも開発に取り組んでいます。効果で言えば、私たちにできることは微力かもしれないですが、誰かの気付きになればとも考えています。さらにその物をどういう価値観で伝えたいのか、お客様にプレゼンしていくことも非常に大事でブランドとして努力していきたいことです。環境や生き物に配慮した物を使って、それをいかにお客さまが欲しいと思う魅力的な商品にできるか、いかにかっこいいイメージを伝えられるかというのはとても重要だと考えます。本当にかっこいい物、事は男女問わず、老若男女、国境を超えて、どんな人種の人でも、皆にフィットして、愛されると思っています。ニューヨークでの経験はその考えをさらに再認識させてくれました。

-奄美大島で古代から伝わる泥染めで染色を取り入れたりと、環境に配慮をしたモノづくりを行なっている中で、感じること、エピソードなど教えてください。

自然豊かな奄美大島で1300年前から受け継がれる伝統技法「泥染め」を継承する金井工芸さんとのコラボレーションではTANAKAのエッセンシャルの、カイハラさんと作成したローホワイトセルビッチデニムに、一つ一つ手作業で天然染料である泥染めをしていただきました。現在展示会を行っているFW21で3シーズン目になります。奄美の土に多く含まれる「鉄分」と、車輪梅に含まれる「タンニン」が化学反応を起こしてなんとも言えない独特なカラーや風合いを出しています。最後の工程は職人さんが奄美大島の清流で1点1点、手で濯いだりと、本当にプレシャスなモノづくりです。1点1点異なるムラ感や洗うごとに味わいを増していく経年変化を世界のお客様に紹介できる大変ありがたい取り組みで、日本のお客様はもちろん、欧米のお客様からも好評をいただいています。1点1点違うことを色ブレやB品とせず、この特性を理解していただけているのもありがたいと感じます。

-毎シーズンのイメージヴィジュアルですが、服はもちろん、写真全体のムードがとても魅力的な印象です。 FW20の小浪次郎さんが撮影したヴィジュアルは特に印象的でした。服やイメージづくりをする際にインスピレーションを受けるものなどはありますか。

やはり人であり、ダイバーシティです。また普段の生活、旅行、友人たちとの会話などからもアイデアが膨らみます。最近はこういったパンデミックなシチュエーションなので自分の中の妄想や願望が皆の気分を代弁していたら良いなと思いシーズンコンセプトを考えています。シューティングでは更に、その気持ちの彩度を上げるような感覚でもっとエッジに、更にかっこよく、大胆なイメージで切り取ってもらえるアーティストとコラボレーションをするようにしています。自分自身も気持ちが高ぶるような、ワクワクするようなことを経験したり、それをイメージとして届けられたら、ということもいつも考えていることのひとつです。

-続いて、デニムについてお伺いしたいのですが数あるデニム生地メーカーがある中、カイハラ製を選んだ理由を教えてください。

実は昔から、カイハラさんのあるひとつの素材の大ファンで、自分でブランドを持つようになったらその生地から派生した素材でジーンズを作りたいと思っていました。シャープな表情、スッキリしたインディゴカラー、風合い、品質の良さ。もちろん前職から大変お世話になっていたというのはあります。担当の営業の方をはじめ、皆さまが、ブランドを始めたばかりの頃から、親切に迅速に対応してくださって、当たり前のことかもしれないですが、そういった真摯的なサービスは会社の姿勢を物語っていると感じます。

-毎シーズン、デニムを取り入れているようですが制作する上で、意識していること、こだわりなどがあれば教えてください。

「これまでの100年とこれからの100年を紡ぐ衣服」とあるように“デニム”、“ジーンズ”の今までの常識にリスペクトを持って取り入れつつ、現代の生活やスタイルにあったツイストを入れていくことを意識しています。例えば、ジーンズのパターンは綺麗目のトラウザーが得意な元NYセオリー社のパターンメーカーとフィットを作っていて、可能な限りスタイルアップできるようにトラウザーパターンをベースにしています。すべてユニセックスなので男女に合うような変則的なグレーディングをしているのもこだわりです。今のところ男女ともに完璧と言えるフィットのひとつがベストセラーとして完成しました。(Dad jean Trousers 改めThe Jean Trousers)そう作っていくと、縫製もカジュアルなジーンズ仕様の部分と、逆に綺麗目に仕上げるところがあってもよかったりと、ジーンズの奥深さと今後の100年を想像し、楽しんでデザインしています。また、常にスタイルにマッチしていくようなジーンズを目指しています。例えば来秋冬の新作では、いつかのアーティストのようにツィードジャケットに合わせれるボトムとしてウォッシュやペイントが施されたジーンズを、コートのインナーとして着用できる小さなデニムジャケットを作りました。

最後に、素材は本当に一番と言って良いほど服を作る上で大事なので、現在、一緒に作らせて頂いたような、人気定番の横糸にリサイクル糸を使ったセルビッチデニムや、無染色のローホワイトカラーのセルビッチなどオリジナルの良い素材を長く使って、必要に応じてアップデートしていくといったことを長いスパンで行っていきたいと考えています。

※アイテム名をクリックするとONLINE STOREへアクセス出来ます。

 (LEFT) Dad jean Trousers /(RIGHT) 1.2.3 Jean Jacket

 

 

-タナカさんにとってデニムとはどのような存在でしょうか。

マストハブインマイライフ。いつも一緒、ずっと一緒。

-最後にブランドの今後の目標について教えてください。

これからの100年、100年以上続いていくブランドになること、TANAKAが日本人の名前を代表するような世界から愛されるブランドになること、物だけではなく、日々が楽しくなるような、ワクワクするような事、そんな価値観を世界の人々に楽しんでもらえるブランドになっていく事です。

PROFILE
SAYORI TANAKA
「TANAKA」デザイナー

「これまでの100年とこれからの100年を紡ぐ衣服。時代、性別を超えて永く愛される衣服。」をコンセプトにしたユニセックスのブランド「TANAKA」を2017年からニューヨークにてスタート。

東京モード学園アパレルファッションデザイン学科卒業。ヨウジヤマモトにて「ヨウジヤマモト ファム」「ヨウジヤマモト プールオム」「ワイズ フォー メン」で企画、ニットカットソーデザイナーとして経験を積んだ後、ファーストリテイリングに入社、「ユニクロ」のウィメンズデザインのチームリーダーとして東京、上海、ニューヨークのオフィスに勤務。

HP: tanakanytyo.com

instagram:@tanakanytyo

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