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vol.5 ワークウェアとしてのデニム

働くデニムは美しい

いまやファッションシーンに欠かせないデニムですが、本来は働く人々のワークウェアでした。当企画はクリエイター・アーティスト・クラフトマンたちが愛用する現代の働くデニムを紹介していきます。色落ちやダメージなど実直に働くデニムは用の美が感じられ、持ち主のパーソナルな部分が見えてきます。第5回目のゲストは絵描きのLee Izumidaさんです。

おばあちゃんになるまで絵を描き続けたい

アクリル画の作品を中心に、看板や宣伝美術、ウィンドウに用いられる絵や文字、さらにはTシャツやアロハシャツ、ファッションブランドとのコラボレーションを発表するなど絵描きの枠を超え、幅広く活動しているLee Izumidaさん。多忙の中、アトリエにお邪魔して絵を描き始めた経緯、個展のこと、そしてデニムについて、お話を伺いました。

「絵を描き始めたきっかけは特になくて、物心ついた時からずっと絵を描いていました。両親がグラフィックデザインやインテリア関係の仕事をやっていた影響もあり、幼い頃からアートは好きでした。地元はすごい田舎でしたので正直、絵を描くことと自然の中で遊ぶ以外やることがなくて(笑)。夢も絵描きになること、おばあちゃんになるまで絵を描きたい、という想いは幼い頃からずっと変わっていないですね」

その後、16歳から21歳の間、シアトルへ留学。美術を選考してデッサンを学ぶ。帰国後、アーティストとして、世間に幅広く認知されるきっかけは何だったのでしょうか? さらには昨今のパンデミックについて、感じることを伺ってみました。

 「東京に上京した事とウィンドウワークを始めたことで、見てくれる人が多くなったことですね。前職で渋谷の大きいウィンドウに描いて欲しいと声をかけてもらい、そこからウィンドウワークを始めました。昨年の前半はコロナの影響で出張やワークショップ、個展は行えずにいましたが職業柄、私自身の生活は劇的に変わっていません。ただ、ステイホームを苦痛と感じる人もいると考え、少しでも楽しんでもらえたらと思い、ベランダで絵を描いてSNSで発信をしてました。私は人に喜ばれるのが単純に好きなので、以前よりも『人を楽しませたい』と思ったり、『相手に伝えたい』ことを精力的に行うようになりました。ありがたいことにすごく忙しくさせてもらっていて環境的にも恵まれ、周りの方にすごく支えられているので感謝しています」

目で観て感じてもらえる作品を残したい

個展は年に1回以上はやるというのを自分のルールとしているLeeさん。個展に対する想いやインスピレーションについて尋ねてみました。

「やはり『作品を残したい』という想いが強いので、個展は大切にしています。インスピレーションは日常や幼い頃の思い出から得ることが多いですね。描いているモチーフも昔からあまり変わっていません。何を描きたいか、いま何をやりたいのか、自分の興味や描きたいこと、伝えたいことと素直に向き合いながらコンセプトを決めています。個展の開催は自分に追い込みをかけますし、毎回緊張します。キャンバスに手で描いているので、やはりプリントでは伝わらない立体感や、筆の擦れ、絵の具のツヤ感など、目で観ないと伝わらない部分があります。個展では原画を観て頂けるので、それを観て何かを感じて頂けたら嬉しいです。私はデジタルを使わないのですが、デジタルはデジタルですごく進化していて、今後さらにどう進化するか、とてもワクワクしています。アナログはアナログの良さがあり、それぞれ面白いなと感じています。結局のところ、描いている時って、物凄く楽しい時間なので『絵を描き続ける』ことが大事だと感じています。ずっと描き続けているので、好きから、だんだん意地にはなってた時期もありました() 。40代半ばとか50代になったら私はこれが好きだなと、的を絞れたら良いのですが、いまは個展以外にも好奇心の赴くまま、色々な事に挑戦していけたらいいなと思っています」

いま持っているものを長く大切に使う

定期的にLeeさんのSNSから発信される#今朝のアトリエとお洋服。デニムスタイルもあればワンピースやスカートなど実に幅広い着こなしがアップされている。作業する際のファッションについて、こだわりのポイントを聞いてみました。

「洋服が好きなので毎日、同じ服を着て作業しているとテンションが上がりません。正直、絵の具はつきますが、それも自分らしいと思っています()。その日の気分で黄色のシャツを着たいとか、スカートを穿きたい、その気持ちを優先しています。こだわりは腕が絶対に上がりやすいもの、脚立に登る時はヒールを履かない、スカートの裾が引っ掛からない物を選ぶなど現場のシチュエーションによって決めています。自分のテンションを上げることで、パフォーマンスにも影響しているのかなと思います」

幅広い着こなしで、チャーミングな絵を描くLeeさんですが出張に行く時は荷物を増やしたくないという理由で、ボトムは一本のデニムを持って行くそうです。所有するデニムはスキニーから、ワイド、ヴィンテージ、つなぎと様々な種類があるのでその日のコーディネートに合わせて着用しています。

「ハードな現場や出張ではTシャツにデニム、そしてブーツが良いです。デニムは生地がすごいタフなので長く穿けて、穴が開いたらリペアが出来るアイテム。実際、父親が若い時に穿いていたデニムを受け継いで身に付けていますし、そんな事が出来る洋服ってデニムやレザージャケットだけでじゃないでしょうか。長い間、大切に出来るデニムってすごい良いなって思います。普段、身につけるファッションもトレンドはあまり気にせず、基本的に買い物をする時は、おばあちゃんになっても着れるか、着れないかを基準に選んでいます。いま使っている絵の具の水入れも小学校の時もので、アトリエにあるデスクと椅子も旦那のお父さんから譲り受けたものです。出来る限り、いま持っているものを長く大切に使うことを心掛けています」 

PROFILE
Lee Izumida
絵描き

1986年、北海道生まれ。幼少期から絵を描き始め、アメリカ留学時に絵を学ぶ。2015年より東京に拠点を移し、 2019年より本格的に絵描きとしての活動をスタート。アクリル画の作品を中心に、看板や宣伝美術、ウィンドウに用いられる絵や文字を描いている。

HP:izumidalee.com

Instagram:@izumidalee

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