SNS
SALES
ART

樅山敦による連載企画

BARBER BOYSの樅山さんによる連載企画、「映画とデニム」。映画やファッションにも造詣が深く、デニムの魅力が存分に味わえる映画をコラムと共に紹介します。

8 Mile /カーティス・ハンソン監督作品 / 2002年公開

 

子供の頃の記憶とデトロイトが被り、来る物がある映画だった。

エミネムのデニム使いはヒップホップのオールドスクール。体が少々大きくなっている自分には都合のいい着こなしだ。天気はいいが、出掛ける予定がないダラダラした日曜日、お腹が空いて、近所のグローサリーにサンドイッチでも買いに行くかって時にパーフェクト。ビーニー、フーディ、デニム、着替えた後もリラックス。ガシガシ洗えるから、これからの季節に活躍する。困ったのは足元。Timberlandのブーツがオールドスクールだけど、日曜日には重い。白ソックスにnew balanceのML725で良い休日感は出したいところ。ちなみに、スウェットパンツだとロッキーになる。映画もアメリカン・ドリームのサクセスもので似ているが、エミネムは体現者なのでリアルだ。

財政破綻した街、デトロイト。街には6Mile、7Mile、8Mileという名前の道が平行して走る。8Mileより先は白人中心の裕福な地域。6、7Mile一帯は主に黒人が住む貧しい地域。ボクのルーツ、福島県いわき市常磐の70年代に似ている。線路を挟み、常磐ハワイアンセンター側と閉山した常磐炭坑側に分かれる。ハワイアン側は競争馬の保養所や温泉旅館が立ち並ぶ観光スポット、繁華街にも活気があった。炭坑側は廃虚が並ぶ住宅地、廃れた家々に夏草が生い茂り、まだ住んでいる元炭坑夫もいた。ボクたちが暮らす家はもっと南側の郊外にあったせいか、客観視していたと思う。いつかこの街を出たいとか、何も考えていない子供の頃の記憶とデトロイトが被り、来る物がある映画だった。

番外編 〜Spotify〜ボクのサントラ「8 Mile

ここからは番外編、『ボクのサントラ「8 Mile」』と題した、同映画の世界観を踏襲したセレクトをしました。父がジャズベーシスト、母がオペラ歌手と恵まれた環境で育ったJ Dilla。彼がビートメーカーを務めるデトロイトの雄「Slum Village」のレーベル「Ne’Astra Music Group」からチルアウト・クラシックスで選曲。

PROFILE
樅山敦

福島県いわき市出身。1989年からヘア&メイクアップアーティストとしての活動をスタート。2007年代官山にオープンした理髪店「BARBER BOYS」オーナー兼プレイヤー。2016年男性整髪料ブランド「CHET」のディレクター。2021年Panasonic バリカンのヘアスタイル監修も務める。

RECOMMEND ENTRIES
オススメの記事