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樅山敦による連載企画

BARBER BOYSの樅山さんによる連載企画、「映画とデニム」。映画やファッションにも造詣が深く、デニムの魅力が存分に味わえる映画をコラムと共に紹介します。

Pistol /ダニー・ボイル監督作品/2022年公開 

アイドル・バンド

1977年、ピストルズが全てに拍車を掛けたのは事実、ものすごい変化を音楽にもたらした。彼らがいたからTHE JAM、THE CLASHも存在出来たと思う。保守派イギリスだからこそのムーブメント?ピストルズに関しては違うな。洋服屋の広告!マルコムという広告代理店みたいな男が、ヴィヴィアンが作る洋服を売るために起用したアイドル・バンド、パンクのコスプレ。やることが早かった。だから今だに影響力があるし映画にもなる。しかもディズニーが制作、素晴らしいね。そしてピストルズの衣装はセディショナリーズ。イギリスの治安法(The Act of Sedition)に反対するという意味。エリザベス女王の唇に安全ピンを刺したTシャツはアクションのひとつ、真面目に取り組んでいるメゾン。ピストルズを観て洋服を買いにくるKidsは、ヴィヴィアンたちが真に意味するところを理解してなかったと思う。まぁマルコムの戦略は上手くいったけどね。

クラシックとパンクが合わさったイギリス ・スタイル

マルコムはヴィヴィアンとともにパンク・カルチャーを築いたけど、一時代で終わらずに進化を続けた。一見奇抜だが、トラディショナルなベースがあるから生き続ける。イギリスには世界中の男たちが憧れる何かがあるんだ。ピストルズのライフスタイルにはドラッグとデニムは欠かせないアイテム(笑)特にデニム。ロンドンには週末マーケットや古着屋がたくさんある。当時の中古デニムは77年以前のヴィンテージ、今なら驚くほど高額ではあるが、古い繊機による生地感とインディゴが生み出した絶妙な縦落ちは、偶然の産物だから魅力的なんだ。例えばシドのデニム姿が格好良い、真似しようと思ったら、現行の新品がオススメ。CELINE「セルビッジジーンズ・ムーンライトウォッシュ」またはAcne「ルーズフィットジーンズ」。デザイナーがパンク・リスペクトだから、ゴリゴリのストリート。UK好きのおじさんは是非!もう少し上品にいきたいならLEVI’S「606」を挙げたい。裾幅の細いテーパードスリムはスニーカーでも、革靴でも自然に馴染むんだ。ブリティッシュ・トラッド憧れのシティボーイは是非!

シドが亡くなって店名を「セディショナリーズ」から「ワールズ・エンド」に。86年に訪ねてみた。Tシャツを何枚か購入したが、1回も着た記憶が無い。家にも無い。どこへやったのか…?

男は誰しもリフレッシュしたい時がある。そんな時は葉山の海。鎌倉も悪くはないが、御用邸に守られつつ、静かに身体を癒しデニムのことを考える。昼には昭和感漂う海の家で、生ビールと若布ラーメンが丁度いい。

番外編 〜Spotify〜ボクのサントラ「Pistol

こからは番外編、「ボクのサントラ「Pistol」」と題した、同映画の世界観を踏襲した選曲。今回は77’S UK PUNKからのVintage Mix。

PROFILE
樅山敦

福島県いわき市出身。1989年からヘア&メイクアップアーティストとしての活動をスタート。2007年代官山にオープンした理髪店「BARBER BOYS」オーナー兼プレイヤー。2016年男性整髪料ブランド「CHET」のディレクター。2021年Panasonic バリカンのヘアスタイル監修も務める。

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