広島県福山市北部の縫製工場8社で結成した『繊維産地継承プロジェクト委員会』。このチームが立ち上げたプロジェクトネームは『HITOTOITO（ヒトトイト）』。活動拠点とする福山市北部は、繊維に関連する企業や工場が多く集まり、一大産地を形成するエリアです。江戸時代から続き、この土地で人と糸が織り成してきた産地の歴史、そして作り手の想いと縫製の技術を、次世代に引き継いでいます。

福山市北部エリアは、国内デニム生地製造シェアのおよそ半数を占め、一枚の服を仕立てるために必要な工程を担う専門工場が集積した地域です。それは全国的にも珍しく、福山が“繊維のまち”と呼ばれる大きな理由のひとつです。江戸の綿花栽培から備後絣へと発展し、現在ではワークウエア、カジュアルウエア、デニムと、時代とともに変化しながらも、途切れることなく、そのものづくりの伝統は受け継がれています。この土地で、人の手が生み出し培われてきた技術と、人と糸が織り成してきた産地の歴史、そして作り手の想いを一人でも多くの方々に伝え、未来へつなぐ。『HITOTOITO』が大切に想う、活動意義と使命です。

主な活動として挙げられるのは、デニムパンツを作るために必要な専門知識や工業用ミシンを使った縫製技術を10日間で学ぶデニムスクールです。縫製のプロによる実技指導を受け、卒業時には自分のサイズに合わせたオリジナルデニムパンツを縫い上げることができます。これまで14期まで開講し、100人を超える卒業生を輩出。中には地域の縫製会社に就職された方や自身でブランドを立ち上げた方もいます。また、デニムができるまでの工程を旅し、縫製技術体験と学びの旅も提案しています。繊維、アパレル業界の新入社員研修・教育プログラムとして、産地滞在型プログラムを開催する等、キッカケ作りの創出のため、イベントやワークショップも積極的に行っています。