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樅山敦による連載企画、「映画とデニム」

自分の理髪店のルーティンを撮って頂いてからというもの、ドキュメンタリー映画ばかり観ている。今月は料理三昧。色々と観たけど、この2作品が印象に残った。

『ノーマ、世界を変える料理』/ピエール・デュシャン監督/2015年公開
『シェフのテーブル』/エピソード1 クリス・ビアンコ編 /2022年公開

 

ノーマは「世界のベスト・レストラン」で3度の1位を取ってる予約が取れないお店。地産地消にこだわり、常日頃、新メニュー作りにもがき苦しむ4年間を密着取材中、ある事件が起きてしまう、食中毒!こんなことを言うのは失礼かもしれないけど、制作側にとっては美味しいよね(笑)そこから如何にして這い上がるのか?天才シェフ、レネ・レゼピの復活を追うドキュメンタリー。

これを機に世界中のグルマン、評論家、行ったこと無い奴らからも、食中毒以外のあることないこと悪口を言われるノーマ。ボクもヘアメイク駆け出しの頃、同業たちに誘われて三軒茶屋の居酒屋へ。自分としては「何か得るものがあれば」と思い参加させてもらった。だけどねぇ〜、活躍している先輩方の悪口ばかりでねぇ〜、ツラかったねぇ〜…。時間とお金が勿体ないから、それ以来行かなくなったけど、超一流の先輩方の会話は至ってポジティブ。そこでボクは気づいた。

悪口は言われない方がいいって思ってたけど、実は逆で、悪口を言われる人は幸せなのよ。なぜかというと、幸せだから悪口を言われるの。不幸な方の悪口は言わない。自分よりも下の不幸な方たちの悪口って言わないよね。基本的に自分より上の人に対して言うの。だから悪口を言われるのって幸せな人なんだな〜って気づいた(笑)

アリゾナ州フェニックスにある「アメリカで1番美味しいピザの店」ピッツェリア ・ビアンコ。ピザを焼く行為で人生の意味を学んでいると言うオーナー兼ピザ職人のクリス・ビアンコ。今まで、ムービーで観たピザのビジュアルは「ボクに刺さり度、圧倒的No.1!」

クリスさんは中々お洒落。ボトムはデニムで上物はシンプルなシャツ、ヘアはデヴィッド・リンチ、良く云うとね(笑)お顔はピカソ。要するにチャーミングおじさん

服装も含め、一貫して言えるのは、小麦粉、野菜、肉などの材料、窯の温度、焼き方にたくさんの時間を費やしてるよね。真剣に向かい合い、長く取り込んでる人は、それが滲み出ている。クリスはただのチャーミングおじさんでは無いのよ(笑)「当たり前を続けると、当たり前じゃなくなる」ってことかな。ねぇ~、クリスさん。

今月、なに読みましたか?

「バディ・ホリー写真集、CD 10 枚組セット」ギター中心のロックンロール・スタイルを作った人。後にビートルズにつながるバンド・スタイルを作った人。NIGOさんが「Nowhere」井浦さんが「Revolver」「ビートルズの曲名を店名にすると流行る店になるよ」とNIGOさんが言ってたのを思い出して、探したね、無我夢中で、アルバム未収録のブートレグまで全て。だけどピンとくるのが無いのよ…。そこで、ビートルズが憧れたバディ・ホリーに目を付けた。アメリカン 50’S からカルチャー、ファッションを学んだボクにとっては自然な流れで、すぐ見つかった「Oh Boy ! 」って曲。雑誌Popeyeが「シティ・ボーイ」をかかげ、リニューアルすることも聴いていたから、ちょうど良いやと思い、店名をBARBER BOYSに。階段を上ったところに、バディ・ホリーのイラストがあるのは、初心を忘れないように。

お酒、なに呑んでますか?

「船中八策」土佐の酒。食中酒としての完成度が高い。スッキリ辛口で、後口にキレがあるから。鰹が酒に、寝そべって来るんじゃないかな。

ボクのサントラ「「BARBER BOYS MIAMI CITY SOUL」を聴いてみませんか?

クリスの焼き方みたいに、まわりをちょっと焦した、パリッと旨いピザを頬張り、クラフトビールで流し込む。〆はパスタで腹一杯になりたい週末のBGMは「シティ・ソウル」って勝手に用語を作ってる(笑)シティ・ポップより辛口で、ヒップホップ 好きにも刺さる、男にウケるグルーヴを定義に選曲。晴れた午後、床屋でもかけてます。是非!

 

樅山敦

福島県いわき市出身。1989年からヘア&メイクアップアーティストとしての活動をスタート。2007年代官山にオープンした理髪店「BARBER BOYS」オーナー兼プレイヤー。2016年男性整髪料ブランド「CHET」のディレクター。2021年Panasonic バリカンのヘアスタイル監修も務める。

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